大阪市立大学「全学生・全教職員を対象とした PCR 検査について」に対して一考

私の通っている大阪市立大学から、2020年9月30日に無償で新型コロナウイルスのPCR検査を受ける事が出来るという連絡が来ました。

全学生・全教職員を対象とした PCR 検査について(ご案内)

後期授業における対面授業の実施に合わせて、大学内の安心・安全な学修環境を再構築するとともに、大学構成員の感染予防の意識を高めるため、全学生および全教職員を対象に本人の了解のもとPCR 検査を実施することとしましたので、下記の通りご案内します。

必ず、添付の学長メッセージおよび案内文をお読みいただき、受検についてご判断いただきますようお願いいたします。

1.検査対象者
・大阪市立大学に在籍する学生(学部生・大学院生・科目等履修生・研究生)
・大阪市立大学に勤務する職員(非常勤含む。阿倍野キャンパスで勤務する教職員を除く。)

2.実施日程および実施場所
日時:10月12日(月)〜10月16日(金) 10時〜16時
場所:杉本キャンパス 全学共通教育棟(8号館)ピロティ
※検査での3密回避のため、申込時の希望日時に基づき、検査日時を事前に通知します。(10月7日(水)〜9日(金)予定)

3.検査方法
医師監督下での鼻腔検体の自己採取法となります。(インフルエンザの検査のように採取に苦痛は伴いません。)

4.申し込み方法
添付案内文にある申込先からお申込みください。【申込期限:10月6日(火)まで
OCUID・パスワードでのログインが必要です。

未成年の学生が受検する場合は、保護者からの同意文書が必要となります
※この検査で陽性が判明した場合、無症状であっても感染者として大学および保健所の指示に従っていただきます。

というメールです。ここには書いていませんが無償で “全学生・全職員” に対して新型コロナウイルスのPCR検査を受検できるようです。そこで、全学生・全職員がPCR検査を受ける意味について考えたいと思います。まず、無償でこのような機会が与えられるのだから受けたら良いという意見を持つ人については受験したら良いと思います。ここでは感染リスクが高い人間(クラスターが発生した場所にいた)ではない受験者が、たった一度だけPCR検査を受検することに関してそのような必要があるかを検討していきます。

学生への連絡について

まず、9月の上旬に以下のような報道がありました。

大阪市大、全学生8千人に抗原検査検討 費用も負担(産経新聞 2020年9月4日)

自分の周りの人達から「市大で全員抗原検査するの?」という質問を複数聞かれました。しかしこの時点では我々学生に対しては寝耳に水の情報であって、自分たちも報道で知ったので詳しい事は全く分かりませんでした。ここから冒頭で紹介したメールが9月30日に届くまで、何の情報も得られませんでした。

対面授業再開へ全学生にPCR…大阪市立大(読売新聞 2020年10月1日)

メールの送られた翌日の読売新聞の記事ですが、学生へのメールと同じような内容でした。

感染していると思われない人間がPCR検査を受ける意味を考える

このメールは大学ポータルサイトの掲示板の内容を自動的に学内メールに転送される機能によって送信されているもので、ポータルサイトに記載されている学長のメッセージを確認しようとしました。しかし、この記事を書いている10月9日現在、既にこの案内がポータルサイトの掲示板で削除されている様で確認することが出来ませんでした。ですので、学生向けの学長からのメッセージを見ることは出来ず、この検査の真意を報道ベースでしか現在では読み取ることは出来ません。

上記の読売新聞の記事にあるように、陽性者の血液検査を元に市大病院における新型コロナウイルスの治療方法の研究活動に役立てたいと荒川学長は話しているようです。治療法の確立においては人類の為に役立つと思いますので、陽性者の血液検査を研究に役立てることは陽性者自身が了解すれば良いことだと思います。しかし、PCR検査の受験対象者(今回は学内の学生・職員のうちの希望者)は感染リスクの高い人間ではない(クラスターの発生した場所にいたなど)ためにほとんどの結果が陰性であると思われるので、このような結果がほとんど陰性であると目に見えた検査は何の意味があるのでしょうか。

世の中には日本に住む人間全員に対して(一時的、もしくは定期的に)新型コロナウイルスのPCR検査を受けるべきだと主張する人達が居ます。しかし、このようなことは現状の検査体制では1億人を超える日本の人間を全員検査することは物理的にも費用面でも不可能であるので、私はこの意見に対してはおとぎ話であると思います。また、日本国民全員という莫大な数でないにしろ希望者に対して全員無償でPCR検査を受験することが出来ることを目指す世田谷区長保坂展人氏の考え方のような方針に関しても、費用をどのように確保するのか、また感染リスクの高くない(クラスターが発生した場所に居合わせたなど)人間が受けることは、「陰性」という結果がほぼ確実なのに敢えて受ける意味などを考えるとあまりないと思います。少しでも陽性者を捕捉すれば良いというのがそのように主張する人間の考えであると思いますが、費用・医療資源から考えると割に合わないと私は思います。

これと同じようなことをしているのが今回の大阪市立大学のPCR検査であると思います。

対面授業を再開させたいからと言う理由がこの検査の意味にはならない

大阪市大、対面授業へ学長考案の間仕切り導入(日本経済新聞 2020年10月7日)

荒川学長が対面授業をどうにか再開させたいという考えは上記の日経新聞の記事だけでなく頻繁に学生向けに発信されているメッセージからもうかがうことは出来ます。大学の長として、なるべく早く正常な状態の大学に戻したいという考えはわかりますが、感染リスクの低い人間が受ければ、ほどんどの結果が「陰性」であるということは世間のほどんどの人間が容易に想像出来ます。PCR検査をたった一度きりで何の意味があるのか(一度検査を受ければその人は新型コロナウイルスに感染しないというわけではないため)ということは医学部出身で大阪市立大学の長を務める人間ならばわかるはずです。私はこの検査については大阪市立大学のPR活動以外には何の役にも立たないと思います。この費用の調達元は卒業生からの寄付によって出来た基金をしようすると言う事ですが、この基金は(物理的な設備やオンラインシステムなども含めた)設備投資や学費の減免など、他に有効な使い道があると思っています。荒川学長がこのPCR検査をPRのために活用するとしても、もっと有用なPR活動の方法があると思います。

長々と文章を書きましたが、以上の意見に加え、現在私は大学に行く機会が週に1度以下であるため周りに迷惑をかけるということも無く、わざわざ交通費(頻繁に大学に行く用事が無いので定期券を購入していません)と片道1時間弱もかけて大阪市の端の端にある大阪市立大学にPCR検査を受ける意味はないと判断しました。

大阪市立大学は年間の授業料こそ国公立大学であるため53万5800円と安価になっているものの、学内で自転車を駐輪をするために学生から年間1000円を徴収する、内部生がそのまま大学院に進学する際は入学金が減免されている学校も少なくない中で、大阪市立大学は入学金を大阪市民の学生ともしくは大阪市民の子からは22万2000円、その他学生からは38万2000円徴収するという世間的に見てかなり高額となっているなど、異様な支払いも存在する大学です。このような異様な支払いをなくし、(どうしても必要な経費というならば)このPCR検査に使用した基金を活用すれば良いと思います。

私が大学の仕事を行って大学から1000円にも満たない交通費を請求する時ですら、菅内閣が発足し1ヶ月が経とうとしている時でも未だに紙に手書きのサインもしくは押印が必要とするアナログで役所体質な大学法人です。今すぐにでも大阪市立大学はそのような異様で古い体質を変化すべきであると思いますが、大阪公立大学となる時にはそのような異様で古い体質の大学であり続けてはいけないと思います。

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